第251回光交流会オプトフォーラム
「ブロニカ草創期を語る~カメラ開発秘話」
講師:元ゼンザブロニカ工業(株)取締役事業部長 進藤忠男様
代表幹事 関 英夫
担当幹事 朝倉 耕治
年も明け、新たな気持ちで臨んだ251回目のフォーラムを報告いたします。
講師の進藤様は1928年生まれで昨年81歳を迎えましたが、とてもそんなお年には見えませんでした。外見もそうですが、ぜひとも強調したいのは、その驚異的な記憶力です。一連のセピア色がかったスライドを見せながら、そこに登場するさまざまな方々の来歴、フルネームでの呼称、特殊な事情の指摘など、約60年前から始まる歴史を忠実にたどっていただきました。ときにソニーの大賀氏、パナソニックの松下氏の名が出てきたりして、その豊かな経験談に感心するばかり。このようにして古い話が次々と湧き上がってくるのも、記憶力の良さにとどまらず、カメラ開発一筋に徹してきた心魂のなせるところだったのでしょうか。なお、進藤様作成の詳細にわたる「カメラ開発秘話」を目にしていただくと、その記憶力のすごさが確認できると思います。
会場にD型モデルを持参されましたが、中をのぞくと精密な機械仕掛けになっており、その方面には没交渉な私でもその開発の苦労が手に取るように想像できました。ゼロから立ち上げる仕事に就けるということも、その困難さはともかく、やりがいのある仕事であったであろうことを確信いたしました。
なお今回の講演にあたり、板橋区より人手を差し向けていただき、進藤様とともに資料の整理などにあたっていただいたことを報告いたします。
最後にみやげ話をひとつ、「ゼンザブロニカ」の名の由来は、創業者である吉野善三郎氏の「ゼンザ」と「ブローニー」にあると思っていました。ところがあにはからんや、吉野氏の親戚に落語家の4代目柳亭痴楽(「綴方狂室」、「恋の山手線」を聞いた方も多いのでは)師匠がおり、後発としてカメラを世に出すのだからまずは「前座」であろうとの慎ましやかな指摘に従ったそうです。たとえ善三郎氏が善二郎氏だったとしても、どうも「ゼンジブロニカ」とはならなかったようです。
報告:高木 貢一
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21.フェルマーの原理から得られること
光学設計ノーツ21.フェルマーの原理から得られること
フェルマーの原理はこれまでにも触れてきたが、輝度不変則をフェルマーの原理に端を発する解析力学的な手法で証明することも出来る。
今回はその内容について触れさせて頂く。
屈折率が巨視的に分布している媒質においてのより汎用的な光線追跡のための微分方程式も輝度不変則を考えている、その極近くから得られる。
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株式会社タイコ 牛山善太
「渋滞と無駄のサイエンス」
第250回光交流会オプトフォーラム
代表幹事 関 英夫
担当幹事 朝倉 耕治
今回の講師は東京大学教授 西成活裕先生です。
今回のフォーラムは250回目にあたり、これまでの当会活動の歴史に一本の区切り線を引くものとなりました。
折しも2009年最後の月、新しい年の始まりとともに251回目からのフォーラムが皆様とともに連綿と続いていくよう、意を新たにしたいと思います。
今回は「渋滞」、「無駄」といった身近なテーマを、学問の対象として考え、これらの解消、そしてこれにとって変わる方法論的指針を提案されていることで有名な西成先生による講演でした。
高速道路で渋滞に巻き込まれると誰でもイライラしますし、また週末ともなれば、これはしょうがないことと半ばあきらめてしまいます。
しかし、西成先生によれば(自然)渋滞を避ける手立てはあるということでした。
それはどんなに混み合ってきても車間距離を40mに取ることだそうです。
なぜ40mなのかは、人間心理に関わることのようで、緊急時以外ブレーキを踏まずに安心して運転できる距離が40mなのだそうです。
そして全員がこの車間距離で走行すれば渋滞は起こり得ないとのこと。
しかし現実はそううまくはいきません。
急に割り込まれたりすると当然ブレーキを踏むことになり、それにつられて後続の車が次々とブレーキを踏む結果、車間距離が詰まり、1kmあたりの車密度があがり、全体としてノロノロした走行になってしまいます。
渋滞を避けたいのならばとにかく車間距離40mを守ることです。
渋滞は単にイライラするから解消したいばかりでなく、それは大変無駄なことであるというのが西成先生の考えです。
たしかに渋滞によって時間やガソリン消費量などの無駄が生じますし、また排気ガスの増加で環境にもよくありません。
渋滞は社会の無駄、この考えこそ西成先生が「無駄学」を創成したきっかけでした。
しかしなにが無駄でなにが無駄でないのかは価値観も入ってくるので、無駄の定義はすこぶる難しいものです。
「無駄ではない」のではない、こんなふうに無駄の否定をもってしか無駄の定義はできないのかもしれません。
西成先生としては、短い講演時間では言い尽くせない点が多々あったはずですし、また私たちも、もう少し時間をかけて考えてみたいとの思いはあります。
そこでぜひとも西成先生の著作を読んでみることをおすすめいたします。
代表的な著作として次のものがおすすめです。
「渋滞学」 新潮選書
「無駄学」 新潮選書
報告:高木 貢一
2009/12/2(水)~ 国際画像機器展2009出展
展示予定:レンズ拡散板:LSD照明シミュレーションソフト:照明Simulator
今回で31回目を迎える国際画像機器展は、まさに画像処理の発展ととも歩んで来た展示会で、これから国内外へ向け、さらなる市場拡大、開拓へ向けて、集客をはじめ、情報発信、情報集積の場を提供し、画像処理の発展に寄与する展示会です。
【日時】2009年12月2日(水)~ 12月4日(金)
【場所】パシフィコ横浜展示ホールCD
20.ペッツバール和について
光学設計ノーツ20.ペッツバール和について
これまでに触れさせていただいた正弦条件同様、光学設計において重要な指針を与
えるペッツバール和について、今回は解説させていただく。
主にその導出についてではあるが、導出を知る事はペッツバール和をより適切に利用できることに繋がる。
1. 導出
図1からアッベの不変量1)….
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株式会社タイコ 牛山善太
「製品のカルテをつくろう」
第249回光交流会オプトフォーラム
代表幹事 関 英夫
担当幹事 朝倉 耕治
今回の講師は、荒川健一 元レンズ工業組合理事長 当会サポート会員です。
11月18日に板橋区グリーン会館701号室にて開催しました。
当会は必ず講演の前か後どちらかで参加者が小グループに分かれ、お互いに自由に話し合いをすることが慣例になっています。
今回は講師が会員でしたので講演の前にいつもより多く30分程時間を取り話し合いをいたしました。
みなさんいつも以上に議論が活発になり30分が短く感じました。
講演がはじまり講演の中で講師がときどき皆さんの職場ではどうですかとの問いかけにも積極的に応答があり講師冥利につきる講演でした。
「製品のカルテをつくろう」の意味は製品の企画・製造段階から製造中止まで当該製品のすべてを記録することの意味で「カルテ」をつくろうにしました。
つくるメリットは各部署にファイルされていた文書を一元管理することで情報の共有化、また製品の技術・製造の変更、修理・クレーム情報の蓄積化が計れる、また製品に問題が発生した場合のも迅速に対応できることです。当然デメリットもあります情報を記録するのに人手をとられる、
ファイルが盗難にあえばノウハウを含め製品情報はすべて流失することです。
19.輝度不変則に拠らない正弦条件の導出
光学設計ノーツ19.輝度不変則に拠らない正弦条件の導出
これまで既に、正弦条件については解説させていただいた。
そこでは輝度不変則を利用した導出を行なった。
ここでは、よりオーソドックスな光線光学的導出方法について解説させていただく。
内容は主に下記、参考文献欄の文献により紹介されている内容による。
1 . 有限倍率時、軸上の正弦条件
ここで、光路図をもって正弦条件がどのように成立するか考えてみよう。
光学設計ノーツ19.輝度不変則に拠らない正弦条件の導出 全文を読む
株式会社タイコ 牛山善太
売上向上への戦略と戦術のヒント
第248回光交流会オプトフォーラム
代表幹事 関 英夫
担当幹事 朝倉 耕治
今回の講師は(株)IAC代表取締役社長 中小企業診断士 秋島一雄先生です。
「本日覚えて頂きたいのは、ただ一つ。
意識するということです。
それさえ覚えて頂ければ、本日は十分です。
それだけでも売上は向上します。」
と大きな声で話を始めた秋島氏は、「50人位までの講演では、いつもマイクは使いませんよ。」
とそれ以後は、約1時間ぶっ続けで熱弁を振るう。
その間、一滴の水も飲まない。
テンポの良さと迫力とお話の面白さが印象的でした。
講演は、クイズから始まりました。
スクリーンには、信号機の絵が二つ並んでいます。
「皆さん、信号機を見たことがありますか。生まれてこの方相当回見ていますよね。今日も来場される際には、恐らく見ていますよね。それもたぶん何回も見ていると思います。
それでは、質問です。
信号機の赤いランプは、左右どちらについているでしょうか。挙手を御願い致します。」
その言葉と同時に、皆の頭が左右に動く。
「そうですね、大体半分半分といったところでしょうか。 どこの会場でも大体同じ結果です。半々くらいです。」
正解発表後、
「皆さん、これだけ見ている信号でも、左右のどちらが赤なのか。覚えていませんよね。
何故か、、、『意識して見ていないから』です。
仕事もこれと同じです。
毎日していても、意識してなければ、見えているのに、見えないのです。
だから、意識するだけで、見えて来るのです。」
そして、又、クイズ。
「人・物・金・情報の内、一番変化が早いのはどれでしょうか。」
「はい、あなた。」と一人指名します。
「情報です。」
「はい、正解。人・物・金・情報という先程の順番は、変化が遅い順に並んでいます。
つまり、人が一番変わりにくい。だから、一番に人を変えていかなくてはならない。」
なかなか掴みがうまいなぁと感心していると、戦略の話が始まった。
戦略は、どうするのか。なかなか考えが出ませんよね。そこで、戦略という考えを分けてみましょう。
分からないことも、分けると分かる。
戦略とは、つまり、
誰に・何を・どうやって売るのかに尽きますよね。
この3要素を全て変えては、
その会社の良さを生かせませんよね。
だったら、その内1つだけ変えてみたら。
今までの顧客へ、今までの物を、
今までの売り方をしているのが、
今の状況。だったら、
今までの顧客へ、今までの物を、
違う売り方をしてみては?
今までの物を、今までの売り方で、
違う顧客へ売ってみては?
今までの顧客へ、今までの売り方で、
違う物を売ってみては?
こう考えると、戦略も考えやすいですよね。
「誰に・何を・どうやって売るのか」」を敢て意識してみる。
そうすると、自ずと戦略が見えてくる・・」
この後、どの部分でもよいので1番になる意識を持つ、
自社の強みと弱みを意識してSWOT分析を行なう、
マーケティングの4Pなどの話を熱弁。
戦術では、「売上=客数×客単価=(新規+既存×リピート率)×客単価」の式を意識し、
売上マトリクスの話を。
戦闘では、提案営業の極意、最後は御自分の経験を話されていました。
以上、あっという間の1時間でした。
レポート:朝倉 耕治
18.ストローベルの定理と輝度不変則
光学設計ノーツ18.ストローベルの定理と輝度不変則
前回は共役関係にある物・像、S,S’についての輝度不変則を導きそこから正弦条件を求めた。
今回は共役関係に無い光斑S,S’(途中に光学系が存在していても良い)についてもこの輝度不変則が成立する事を示す。
必ずしも共役関係にある訳ではない、光源、被照明面の関係を扱う事の多い、一般的な照明系の取り扱いにおいてはこちらの考え方のほうがより重宝であろう。
そのためにはまず、ストローベルの定理を導かねばならない。
1.ストローベルの定理の導出と輝度不変則
光路中にレンズなどの光学系が存在する場合の、光学系を透過した輝度について考えよう。
図1にある様に、平面上の微小な面積dSを持つ光源Sからの光束が形成するある平面上の幾何光学的な光斑S’の微小な面積をdS’と置く。
ここではdSとdS’は共役関係に無い一般的な状態を想定する。
また、光線A、A’を定め、簡潔のために、この光線と光軸の定めるメリディオナル断面内に微小平面S,S’の法線が含まれるとする。
さらにこの断面内においてはS,S’はそれぞれ微小な長さdr、dr’で表わされることになるが、光源面上、点Aから微小な距離dr離れた位置にある点Bを設ける。
このBから光線AA’と平行に射出し、被照明面上において点A’から微小な距離dr’離れた位置にある点B’に至る光線を考える。
そして平面Sの法線と光線AA’のなす角度を、平面S’の法線と光線AA’のなす角度を’としよう。
物界、像界の屈折率はともに一様であり、それぞれn,n’とする。
さらに、Bから光線AA’への垂線の交点をCとする。
さらに光線AA’に沿った光路長[CA’]と[BC’]が等しくなるように光線BB’上に点C’を置く。
従って..。
光学設計ノーツ18.ストローベルの定理と輝度不変則 全文を読む
株式会社タイコ 牛山善太
大切な人と今よりもっと理解し合うための2Wayコミュニケーションのコツ
第246回光交流会オプトフォーラム
社内でのコミュニケーションはうまくいっていますか。もっと自然にもっとお互いを理解するためにコミュニケーションについての講演を企画しました。もちろん取引先とのコミュニケーションも良いに越したことはありません。
代表幹事 関 英夫
担当幹事 高木 貢一
今回の講師は(株)FeelCommunication代表取締役の桐生純子先生です。
はじめに、コミュニケーションを苦手としている方は?との問いが発せられました。見たところ8割ぐらいの方々が手を挙げました。かくも多くの方が手を挙げたことには納得がいきます。あらためてコミュニケーションの難しさを確認させられました。
われわれは多くの場合、意識することもなくコミュニケーションの当事者としてその役割を演じています。そのためか、ときに自分が気付かなくとも相手にとっては大切な場面であった、ということが多々あります。たとえば相手がなんらかの言葉、反応を期待しているとき、そこには相手からのなんらかのサイン(ことば、表情、しぐさなど)があったはずですが、ついそれを見落としてしまう、結果として相手を傷つけてしまったということは誰でも経験されているでしょう。
相手から発せられたサインに敏感となり、真の思いやりをもって対することの大切さ、桐生先生も親と子のあいだのコミュニケーションの例を引いてその点を強調されていました。とはいえこればかりはそう簡単に実践できるものでもありません。日ごろ人と接するなかで、でそのような心持も自然と湧き上がるような精神性が必要のようです。これはスキルを身につけるというようなことではない、とのことでした。
次に、先生の指示にしたがって「お絵かき」をしました。はじめに丸を二つ描いて、次に丸の中に小さな黒丸を、云々、といった具合です。
先生は人間の顔のつもりだったのですが、その結果できあがった絵は参加者のあいだで大きく違っておりました。
コミュニケーションにおけるノイズともいうべきもの、情報の不足あるいは情報の誤った送受信がその原因です。思うに、残念ながらもそれらを回避する決定的方法は無いのではないでしょうか。「不足」に気付くには「足りている」ことの理解が前もって必要ですし、またヒューマンエラーを無くすことが不可能であるように、情報の受発信場面における理解の不一致を完全に一掃することは無理でしょう。ここには解決困難な大きな問題があるように思われます。せいぜい情報を伝える側からは懇切丁寧な説明を分かりやすい手段をもって発するということぐらいなのでしょうか。
楽しくもあり、しかも意義ある講演が終わったあとは、近くの中華レストランで8月恒例の納涼会となりました。
文:高木 貢一