100年に一度と言われるこの大不況、あなたの仕事の危機管理は大丈夫か

光交流会第245回 光交流会オプトフォーラム
今回は通常行われている技術的なテーマを離れ、今回は現実の経営に欠かせない危機管理をテーマとしてフォーラムを開催いたしました。
代表幹事 関 英夫
担当幹事 吉村泰信
第245回オプトフォーラムは危機管理をテーマに講演会を開催した。「100年に一度と言われるこの大不況、あなたの仕事の危機管理は大丈夫か」と題して、(株)神田総合研究所、代表取締役、岸本豊氏(法務博士・行政書士)にご講演をお願いした。
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はじめに、グリーンスパン氏(前米連邦準備制度理事会議長)の言葉「100年に一度の津波」を引用され、現状の経営環境について簡単に説明がなされた。
戦後の混乱期は今よりももっと厳しい環境であったはず、わが国はまだまだ底力はある。実業・正業に需要あり。購買力もある。悲観的に情勢を見つつ、楽観的な心で緻密な対応を検討し実行する。厳しい状況下こそ実践的な危機管理が大切である。
危機管理はリスクマネジメントの一部であり不測の事態に備え、極力発生させないようにする。
発生時の影響を最小限に努め、発生を早期にキャッチできるようにすること。と述べられた。
世間によく知られる企業の過去にマスコミで報じられた不始末内容を例に出され、日常における危機管理の重要性を話された。企業は財務的に良好ならば、それで良しとは言えない。何事にも余裕の少ない経営では、内部に危機の原因を蓄積することになり、危機発生に転じる。危機への対応を誤ると、一挙に業績悪化・信用喪失・破綻の危機に見舞われる危険性をはらむことになる。
危機の種類と対応について、製品不良発生時の迅速且つ的確な対応の重要性。取引先の倒産および経営危機の対応として、債権の種類とその額、弁護士との相談、強引に債権を取り立てると後々に法的に不利になる恐れがあるゆえ注意が必要。役職員の事故回避策として、リスクの高い行動には分散行動、人材のバックアップなど。設備・施設の事故対策としてデータのバックアップ。資産管理には、早期察知の重要性、管理のための努力を惜しまない、高いリスクを伴うことに手を出さない。
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個人情報漏洩とセキュリティーについて、個人メールの監視体制・携帯は・貸出し・資料の持ち出し禁止・出入り口での抜き打ち検査などの例が述べられた。
法的リスクとしてコンプライアンス、セクハラ・パワハラ等の人権問題、著作権等の侵害など注意を怠らないこと。その他、苦情やクレームの対応・風評・役職員の犯罪・内部告発・外部からの犯罪行為など企業にもたらされる危機の種類が述べられた。
リスクマネジメントとして、リスク要因ごとの発生確率、ダメージの大きさを評価し、危機防止のための経営資源の投入を最適化して対応する。
危機管理委員会を設け、どんな危機が潜在しているか、そしてその危機ごとにどう対応しなければならないか、事前に概略を検討しできればマニュアル化を行い、年に1~2回の見直しを実行する。業務がどの様に行われたのか、を出来る限りトレースできる体制を整えておくことが重要と述べられた。
危機発生時の対応として、先ず責任者をはじめ対策によりふさわしい人選で対策の体制を整えること。マスコミ対応について、事実をつたえる。責任は何かを明確にする。誰に対して何を謝罪するかを明確にする。損害賠償の責を負ったら、何に対してかを明確にする。緊急時対応、応急処置、回復、修復、再発防止策などについて必要なことを伝える。
また、日常において企業風土・企業文化の練磨に努める。このレベルが高いと製品不良発生時にも適切・円満に収拾しやすい。他に重要なことは組織の連帯感・チームワーク・情報伝達とフィードバック体制の確立。要所での相互協力・相互チェックが重要である。
「人は間違うもの、魔が差すことがあるもの」と知って平時の対応を怠らない。  以上
レポート:吉村

2009/9/30(水) 光源&レーザー展2009 出展

展示終了:レンズ拡散板:LSD照明シミュレーションソフト:照明Simulator
いろいろな用途に応じて求められる光源およびレーザーの条件や特性の違いを明確にするとともに、最適な光源、レーザーを選ぶ際に役立つ知識と情報を提供する展示会です。
【日時】2009年9月30日(水)~10月2日(金)
【場所】パシフィコ横浜 展示ホールCブースNo.B-7

2009/9/16(水) LEDジャパン2009/Strategies in Light展 出展

展示終了:レンズ拡散板:LSD照明シミュレーションソフト:照明Simulator
LEDジャパン2009は、10年前から毎年米国で開催されている高輝度LEDのカンファレンス・イベント『Strategies in Light』の日本版です。LEDの製造にかかわる材料、設計、測定、製造技術とLEDの応用製品の展示会です。
【日時】2009年9月16日(水)● 9月17日(木)
【場所】パシフィコ横浜 展示ホールCブースNo.B-7

17.クラウジウスの関係より導く正弦条件

光学設計ノーツ17.クラウジウスの関係より導く正弦条件
正弦条件とは、良好に収差補正された結像光学系が必ずある程度は満たしている重要な条件である。
また、結像共役関係における輝度の不変性も照明光学系、結像光学系の明るさを考えるためには重要な基本原理である。
この“正弦条件”と“輝度の不変則”は“クラウジウスの関係”と呼ばれる関係式により結びついている。
本稿ではこのクラウジウスの関係を考え、共役関係における輝度不変の法則を導き、そしてそこから正弦条件について言及する。
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株式会社タイコ 牛山善太

16.波動光学的波面と幾何光学的波面

光学設計ノーツ16.波動光学的波面と幾何光学的波面
今回は、これまで考えてきた幾何光学的波面と、波動光学的(物理的)波面の違いについて確認してみたい。
文字通り、物理的には波面と言えば後者を指すのであろうが、光学技術分野においてはむしろ、前者を示している場合も多く、少々複雑でもある。
1. その定義の違い
基本的は以下の定義が一般的である1)。
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株式会社タイコ 牛山善太

2009/7/29(水)~ 第20回マイクロマシン展出展

展示終了:コンフォーカル3次元形状測定システム…μSurfexplorer
μSurfexplorerは白色LEDとNipkow diskを用いたコンフォーカル顕微鏡式の測定装置です。
最小測定分解能(Z軸)2nmと高精度な三次元形状測定を実現致します。
展示終了:レーザー共焦点3次元形状測定システム・・・μScanCF4
共焦点方式で凹凸形状高さ、幅測定を高精度に測定可能。
【日時】2009年7月29日(水)~7月31日(金)
【場所】東京ビックサイト NanofocusブースNo.C-18

光化学的表面改質接着、薄膜技術と石油代替エネルギー金属ナトリウム

光交流会第244回 光交流会オプトフォーラム
講演会
第一部「プラスチックの光化学的表面改質を利用した光学材料の接着やコーティング」
第二部「石油の代替エネルギー金属ナトリウム」
講 師:村原 正隆先生(東京工業大学 特任教授/ 東海大学名誉教授)
光交流会は1988年に設立された「光」をテーマとした交流会です。所属する企業の規模や業態に関係なく、立場や利害を超えて出会い、語らい、学び合う場です。人々の交流が光産業の発展を通じて環境にやさしく、高品質な社会の創造に役立つよう念じています。
光交流会 
代表幹事 関 英夫
担当幹事 竹谷和芳
6月のオプトフォーラムは 光交流会アドバイザーをしていただいている東京工業大学 特任教授(東海大学名誉教授)村原 正隆先生に第一部「プラスチックの光化学的表面改質を利用した光学材料の接着やコーティング」第二部「石油の代替エネルギー金属ナトリウム」と題して講演をお願いしました。
第一部UV光の光化学的性質を利用してプラスチック表面の所望場所に、目的とする官能基を置換し、その材料固有の性質を生かしたまま表面露光部のみ性質を変える方法、(1)蛋白質が着き難い眼内レンズを例に、蛋白質付着制御処理方法、(2)耐熱性・耐水性・紫外線透過性を満たす接着とコーティングについて、シリコーンオイルの性質と光接着の原理、接着方法、光化学反応の推移、有機シリコーンオイルを無機ガラスに変化させ、世界初、応力歪みも気泡も殆ど無い接着強度18MPAの光学部品室温接着法を解説いただきました。
第二部では地球の温暖化現象を直視〈Co2排出“ゼロ”を目指し再生可能で持続可能な社会を創る〉二酸化炭素も放射線も出さない燃料資源〔海水〕洋上風力や潮流から得られた電力を用い、その場に在る海水を原料にして、金属ナトリウムを製造、副産物として真水、苛性ソーダ、塩酸、硫酸、水素、酸素などを製造、これらを、消費地で電力や工業原料に環境に優しく再生可能で資源戦争の無い世界を作ろうとする構想を紹介していただきました。
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“風力よ”エタノール化からトウモロコシを救え「村原 正隆先生、関 和市先生共著パワー社」では第二部の詳細と村原先生が資源工学を学ばれた中でレーザー工学を本職とされるようになったきっかけなどが著されています。
村原先生には先端技術から地球環境、食料問題など世界各国で講演なさられているご多忙の折、貴重な講演をいただき厚く御礼申し上げます。
文:竹谷 和芳

15.波面収差と光線収差

光学設計ノーツ15.波面収差と光線収差
今回も波面収差に関連する内容であるが、より具体的に波面収差と、実際に写真画面上に現われる光線収差(横収差)との関連について述べさせていただきたい。
収差論において収差を解析する場合、像面上の幾何光学的照度分布を考える場合にも基本となる理論を提供する部分である。
全体的な流れとしては本連載13 回に直接繋がる。最初の図は13回2 図と同一のものである。
光学設計ノーツ15.波面収差と光線収差 全文を読む
株式会社タイコ 牛山善太

14.波面収差について2

光学設計ノーツ14.波面収差について2
前回に引き続き波面収差についての基本的な考え方について述べさせて頂く。
なお、式、図番号は前回からの通し番号とする。
2. 参照球面の取り方による波面収差の変化
ここで、参照球面の曲率半径の取り方によって、波面収差量がどの様に変化するか考えてみよう。
図4において、P’0 は理想像点、S は理想像点を中心とする半径rの参照球面である。
光学設計ノーツ14.波面収差について2 全文を読む
株式会社タイコ 牛山善太

自己混合半導体レーザを用いたセンサとその計測応用

光交流会第241回 光交流会オプトフォーラム
講演会『自己混合半導体レーザを用いたセンサとその計測応用』
講 師:篠原茂信氏(静岡大学名誉教授 工学博士)
光交流会 
代表幹事 関 英夫
担当幹事 吉村泰信
まず、半導体レーザを用いたレーザセンサの概要と特徴について述べられた。
用いるレーザセンサは1個のパッケージに発振光源と受光素子がともに内蔵されている。レーザから出射した光が物体で反射し、再びレーザに戻り内部の光と混合させることで光の周波数と強度が変調される現象を自己混合(Self Mixing)と呼び、この働きを持つ素子を自己混合半導体レーザセンサと呼ぶ。
この呼称は篠原先生が命名されたものでポピュラーではないが学会においてはすでに認識されている。
 
パッケージ内のフォトダイオードが光パワーの時間変化を検出して得られる電気信号を自己混合信号という。
この自己混合信号を使って速度の絶対値や正負の同時測定が可能となることからSM-LDドップラー速度計を考案された。
SM-LD速度計の特徴は「非接触測定が可能、光学系がきわめてコンパクト、軽量且つ安価」である。
速度の正負の判定は発振したノコギリ波の戻り波形の形をオシロ画面上の変化で判断が出来る。波形の山が左に傾いている場合は接近中・急上昇・緩下降を表し、波形が逆に右に傾いている場合は離反中・緩上昇・急降下を表す。
ドップラービート信号の近似解析により、離反・接近の判断とその速度が測定可能となった。この自己半導体レーザ速度計の延長線上に振動計の開発が実現できた。
 
ノコギリ波の上下のどちらか半分は半波長の変異であり、ノコギリ波の個数を速度の正負に応じて加算することで、振動計が生まれた。これについてはシステム外略図とドップラービート波形振動変位波形の復元原理図でもって説明がなされた。
続いて振動計に於ける複雑な振動波形の測定例と自己混合型レーザ振動計:LZB-05が紹介された。
自己混合型半導体レーザセンサの応用その3として、移動物体の三次元距離画像計測の実用化について、距離・速度計の説明がなされた。SM-LD距離・速度計の基本構成から、そのデータ検出方法、距離・速度算出式の解説がなされ、三次元距離画像計測の概要と特徴が下記のように述べられた。
SM-LD距離・速度計におけるレーザビーム光をスキャナで二次元走査することで移動物体の三次元距離画像を測定できる。
平面画像のみを測定するCCDカメラに比べて、本提案では測定した距離と速度から奥行き情報を測定できることが特徴である。
測定距離は約10cmから2m程度(レンズ系の設計を工夫すると、約5m程度までは拡張できる) 距離の測定精度は、停止物体では1mで±1.5mm。移動物体では1mで最大±10mm。
また移動する四角柱や球体は、近づく場合や遠ざかる場合の測定結果の説明なされた。
更に、自己混合型半導体レーザセンサの応用、その4として二重共振器を用いた精密変異計について、応用その5としてレーザスペックル速度計について説明がなされた。レーザスペックル速度計の概要が以下のように述べられた。
相対速度の測定
ドップラー効果が出ないように、レーザ光垂直照射による、平板内移動速度測定
(擬似)スペックル信号とは、表面のスペックル・パターンが移動するので戻り光の位相と強度変化を生じ、この結果変化した光強度を電気信号に変換したもの。
スペックル信号の周波数は、理想的には、速度に比例するが、実際は周波数対速度の直線には、オフセット周波数がある。
人体の手、指で血流速度の相対変化を測定。
→スペックル信号の周波数と体内の血流速度との構成直線が課題
レーザドップラー速度計による血流測定では、レーザ光の入射角は速度ベクトルに対して傾ける。
レーザスペックル速度計についてスペックル信号検出の原理、スペックル信号波形のモデル図、そしてヒトでの血流測定結果、メダカの血流測定結果、実測と理論の比較、レーザドップラー血流の測定例などについて詳しく述べられた。
中でもメダカの血流定量化の測定実験(尾鰭の部分にレーザ光を照射して、200倍実体顕微鏡画像でレーザスペックルの観察と同時に反射・散乱光のスペックル信号をFDで計測する)といったところの解説は実に興味深いものであった。
篠原先生のご研究は、一般的なLDやPDを用いた比較的簡素な装置でありながら、レーザ発振とその反射の周波数のとらえ方で、物体の速度・振動・変位・距離などの計測を可能とするものであり、すでに特許の出願や取得もされており実用化されている。
 
大変魅力的なご研究であり、聴講者一同は大変興味深く聴講させていただいた。篠原先生にはご遠方よりお越しいただき、大変有意義なご講演をいただきましたこと、改めて聴講者一同に代わって心より感謝を申し上げる次第である。
文:吉村 泰信

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