光学設計ノーツ58.キルヒホッフの回折積分式 1
今回からは実用的な回折振幅・強度計算の基礎となる、キルヒホッフ(kirchhoff)の回折積分式について、ヘルムホルツ(Helmholtz)方程式から出発して述べさせて戴きたい。特に今回はそのまた基本となるキルヒホッフノ積分定理について解説させて戴く。
1.キルヒホッフの積分定理 ①
スカラー波動方程式….
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光学設計ノーツ
57.平面波スペクトラム法と光学設計・評価への応用
光学設計ノーツ57.平面波スペクトラム法と光学設計・評価への応用
平面波スペクトラム法についてこれまで述べさせて戴いて来たが、今回はこの手法を光学系評価の場において、どの様に応用していくのか、どの様に計算をまとめるのか、と言うことに関連して解説させて戴きたい。
1.光学系設計・評価への応用、像面での考え方
空間における、光波の伝播を平面波スペクトラム法により表わせることは述べた。様々な光工学の分野で有用であるが、この手法は、さらに収差を持つ光学系がその系の中に存在する場合にも、レーザ光源の様な、小さなフレネル数を持ち、(既述した様にこうした光源からの等位相波面には単純に幾何光学的波面の進行を想定できない)空間的にコヒーレントな面積を持つ光源による光波の伝播、被写体の結像を評価・再現することに役立つ。これまで述べたように、初期平面における複素振幅分布を入力することにより、そこから、半空間に放射する光波を平面波に要素分解して表現できる。この時の、各要素平面波の振幅は本連載第54回(4)式….
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56.平面波スペクトラム法と回折理論の関係
光学設計ノーツ56.平面波スペクトラム法と回折理論の関係
任意の平面上の電場の複素振幅分布をフーリエ変換することにより、様々な方向に伝播する様々な振幅を持った平面波の合成として、その複素電場を表現できた。今回はその様な光波の表現手段から得られる回折理論の代表的な基本式について解説させて戴きたい。
1.平面波スペクトラム表示とフレネル回折等の回折理論との関係
ここで、伝播方向zに対してあまり広がらない光波、z軸と比較的小さい角度を為す
方向に伝播する要素平面波のみを重ね合わせた光波を考える。さて、この様な近軸的な領域においては、前回(2)式….
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55.平面波合成表現における伝達関数とエバネッセント波
光学設計ノーツ55.平面波合成表現における伝達関数とエバネッセント波
本連載前回は、回折などの波動現象を考慮して、収差を持つレンズ等により構成される光学系の性能評価を行わなければ成らない様な場合に、有力な計算手段を提供する、電場の平面波合成による表現について解説させていただいた。今回はその様な光波の表現手段から現れる伝達関数(ATF)、そしてエバネッセント波(Evanescent wave)について触れさせて戴きたい。
1.周波数の限界と伝達関数
本連載前回第54回において、複素電場を構成する多くの平面波の伝播により光波の伝播を表す時、平面波の進行方向を表す方向余弦がα、βの素平面波の位置zにおける振幅A( )は、
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54.光波の平面波合成による記述
光学設計ノーツ54.光波の平面波合成による記述
今回は、回折などの波動現象を考慮して、収差を持つレンズ等により構成される光学系の性能評価を行わなければ成らない様な場合に、有力な計算手段を提供する、電場の平面波合成による表現について解説させていただきたい。
1. 光波の記述
マクスウェルの方程式より、実電荷が無く、εを誘電率、μを透磁率として、これらの値が空間的に一様である場合には(等方性媒質)、
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53.最適化とは、最小二乗法について
光学設計ノーツ53.最適化とは、最小二乗法について
前回説明させていただいた様に、ニュートン-ラフソン法は収束も非常に早く、原理的にも理解しやすく有用な手法であるが、エンジニアリング的な分野では、繰り返し実行されなければならない、ヘッセ行列の計算、つまり2次微分の計算に困難が発生する。
この困難を克服するために、ヘッセ行列の代わりの2次微分を必要としない適当な行列Bを用いる準ニュートンと呼ばれる手法も存在する。
しかし、この代替えのヘシアンに相当する行列も、関数が複雑になれば、或いは関数自体を得ることが不可能な場合には、利用することが困難になる。
今回はそうした場合に用いられる最小二乗法について触れさせて戴きたい。
1.連立方程式の解
以下の様なn元の連立方程式があるとき
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52.最適化とは、ニュートン-ラフソン法の応用について
光学設計ノーツ52.最適化とは、ニュートン-ラフソン法の応用について
光学設計における最適化について前回から触れさせて戴いているが、今回は勾配法より効率の良い、ニュートン-ラフソン(Newton-Raphson)法(あるいは単にニュートン法とも呼ばれる)について解説させていただきたい。
関数化された対象を扱う場合の最適化手法としては大変重要なものであるが、この関数化の部分が、この手法をレンズ設計に持ち込むためのネックとなる。しかし、後述させていただくことになる減衰最小二乗法などの構造もそこから理解しやすくなる。
1.1次元の場合のニュートン-ラフソン法の応用
関数f(x)が、1回微分f’(x)のみならず2回微分f’’(x)が可能なものである場合、前回の勾配法よりも効率の良い最適化手法としてニュートン-ラフソン法を応用したものがある。
点x0近傍の点x0+△xでは、以下如くにのテーラー展開が可能である・・・。
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51.最適化とは、そして勾配法について
光学設計ノーツ51.最適化とは、そして勾配法について
光学設計における最適化とは、所謂、自動設計を指すことが多いが、前回触れさせて戴いた画像復元においても最適化の理論が適用される。
今回は、現代的な光学設計において、様々な場面で、非常に重要な役割を果たす最適化について考えさせていただきたい。
1.最適化とは
光学設計にかぎらず数学的にも用いられる最適化という言葉であるが、その意味は光学設計においてのみならず、数学的には、“与えられた制約条件のもとに、ある関数の最大値、あるいは最小値を齎す、変数の値を求めること”
を言う。
従って、光学設計において収差の表す総合関数の最小値を求めようとすることはこの意味でも正しく最適化である。
また、前回触れさせて戴いた画像処理の場合にも・・・。
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50.デジタル画像の性質について
光学設計ノーツ50.デジタル画像の性質について(ver.1.0)
今回は、これまでとがらりとテーマを変えて(本当は繋がっていますが)、所謂デジタル画像というものの性質について考えさせていただきたい。
デジタル画像とはccdやcmos等の離散化された画素を持つ撮像素子を用いて、そこから得られる離散化された情報の塊としての画像を表すものとする。
1.Digital to Digitalの場合の簡単な考察
ここでは最も基本的なものとして、非常に簡単なシステムを考える。
Digital to Digitalであって、離散化された原稿、被写体を、離散化された像面に結像させる場合を考える。
原稿の画素を2個、受光面の画素も2個とミニマムの場合を想定する。
ここで、光学系により原稿の画像が結像しているとする。
その場合、レンズによって、ある任意の画素jから出てレンズを透過する1というエネルギーが、像面上のどこかの画素kにどのくらいのエネルギーとして分散して到達しているかという分布を・・・
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49.幾何光学照度分布計算においての留意点
光学設計ノーツ49.幾何光学照度分布計算においての留意点
前回では波面収差と光線収差の関係を表わす式を用いて、光束の集光密度を計算し、波面収差から像面上の照度分布を求めた。
任意の次数の、任意の収差の存在する場合の照度分布を得ることができ、そこで得られる数式は、スポット・ダイヤグラムの様な計算機実験的な結果からではなく、幾何光学的強度の法則に基づく解析的な照度分布を直接表わしていた。
しかし同時に、光学系が無収差でなくとも、開口上の通過座標とともに変化する収差図形の動きが折り返す際に発生する火線(caustic)等において照度が無限大に発散してしまうなど、本来起きるはずの無い幾何光学独特の不都合も観察された。
今回はこうした幾何光学理論を背景として実行される照度分布計算、そしてOTF計算などの限界などについて考えさせていただきたい。
1.照度分布図上の発散
2.幾何光学的OTF計算についての考察
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