収差論は以前から、カメラレンズなどの古典的なレンズ設計に有用とされてきましたが、コンピュータによる自動設計などの普及により、どちらかと言うとその意義は忘れられつつありました。しかし、複雑なズーム系の収差補正、非球面レンズの偏心公差解析、偏心光学系の設計に対してのみならず、照明系の設計などに力を発揮するものとして、また、光学系の成り立ちについての理解を深めるための道具として、コンピュータまかせの設計に陥らないための、光学設計者に必要な教養としてその存在意義を再び広く認識させ始めております。
そこで、光学系の成り立ちを理解するため、収差を少なくして行って所望の性能を得るための、広い意味での収差論についての基礎的な、かつ実践的な講演を行います。
- 講義項目
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- 波面と光線、そしてアイコナール
- 波面収差の定義と展開、実収差との関係
- 3次収差係数について、存在意義とその導出
- 様々な収差の分類
- 瞳結像と瞳収差
- 収差論から考える光学系構成の基本条件
- 実際の種々のレンズ構成についての3次収差係数を用いての解説
- 収差論と収差補正、収差係数正規化の重要性について
- どの様な場合に収差が除去出来るのか?
- 日時
- 2011年11月8日