近年、回折光学素子を始め、高解像力な検査装置、精密加工機の光学系、高密度画素撮像素子などに対応する多くの光学系設計・製造の場面で、波動光学的な考察が重要となっております。
とくに回折光学素子は今までの光学系では成し得なかった革新的な成果をもたらしています。こうした状況において、競争力のある製品の開発を行なうにあたり、波動光学の知識・理解が必要になり、そのために、とくに従来の光学設計技術と繋がりを持ち、クリアーな波動光学の解説が必要とされています。
そこで2005年に出版し、ご好評いただいている「波動光学エンジニアリングの基礎」を教材として、平易に、そして様々な状況に対応できる様な統合性をもって波動光学理論の基礎について説明いたします。
- 講義項目
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1.波動の基本的概念
- 光学設計内容に応じて必要となる光学理論とは
- 光線の重要性
2.媒質境界面、結晶媒質中での光波の振る舞い
- エネルギー保存則と反射・屈折則
- 金属面反射
- 偏光についての考え方
3.光の干渉と回折の理論
- 幾何光学と波動光学の領域、フレネル数について
- フレネルゾーンプレートによる比較的、直感的な説明
- キルヒホッフの回折理論、そしてフレネル回折とフランホーファー回折
- 回折光学素子理解のための基礎
4.光学系評価における回折計算
- 結像光学系点像評価における収差を考慮した波動光学的PSFの計算手法
- 光線を用いた、回折現象を伴う光波伝播に、汎用的に対応する計算手法
(平面波角度スペクトル展開・合成計算の実際)
5.コヒーレンシーについての基礎
- 光学設計に於けるコヒーレントな考え方
- 部分的コヒーレントについて
- 照明系も含めた結像の一般式、そして照明系の結像解像性能への影響
- テキスト
- 波動光学エンジニアリングの基礎
- 日時
- 2012年2月1日