第231回 光交流会オプトフォーラム
光交流会
代表幹事 関 英夫
担当幹事 高木貢一
講演会:「良い音を楽しむ、電気、振動、光技術の応用」
講 師:相島 彰徳 先生
今回はオーディオの話です。相島先生みずから会場に機材を運び込み、実際に音を聞きながらの講演となりました。音を楽しみながら専門の話を交えていく手法に、最後まで興味が尽きることはありませんでした。楽屋落ちとなりますが、フォーラム開始に先立つ試運転で最初に出た音がマイルスのマイファニーバレンタイン、これにはしびれました。どう考えてもマイルスを容れるはずのない空間で、構えて聞くというより聞こえてきたという意外性がその主たる理由だとは思いますが、同時に音質のすばらしさもその理由であったに違いありません。たまたま同じCDを持っておりますが、家で聞いてもこうまで“しびれる”ことはありません。
機材の選定にあたっては、制約上小ぶりのシステム構築となったのはやむを得ないのかと思いきや、相島先生の狙いは、むしろ良い音とは必ずしもシステムの大きさに依存しているわけではないことを示す点にあったようです。たとえば用意されたスピーカーは一升枡をふたつ重ねた程度の大きさですが、これがなんともクリアで、そしてふくらみのある豊かな音を出すのです。もちろんアンプ、プレイヤーなど他の機器の性能も関係しているのでしょうが、得られたソースの良さを裏切ることなく出力し直すのは実力あっての結果でしょう。ただしこのスピーカーセット、36万円ぐらいとのことでした。これでは気軽に音を出すわけにもいかず、かわりにため息が出るばかりです。
良い音の環境を作り出すにはさまざまな条件があるのですが、比較的見落としがちなのが振動対策ではないでしょうか。今回の機材のなかでも、アンプ、プレイヤーの足を特殊な合金(制振合金)に付け替え、またCDを上から押さえ込むように専用のディスクを重ね、さらにその上から制振合金で固定するという念の入りようです。振動対策は専門的な知識がなくともある程度は処置できそうですが、とはいえそのための費えがこれまたお安くない。単なるオモリとしかみえないものでも1個数万円とのことでした。
20代にオーディオブームを経験した団塊の世代が定年を迎え、趣味の復活としていままたオーディオが見直されつつあります。今回もその世代と見受けられる方が多かったようでした。いまのところは潜在的オーディオファンだとしても、まもなく顕在化するのではないでしょうか。事実、量販店のオーディオコーナーには相応のスペースが確保されるようになってきており、また特筆すべきはマニアの目指す方向が高級志向にあることです。ミニコンポは若者にゆずっても、本格的オーディオに関しては強烈無比の団塊パワーが控えているとあっては、これからのオーディオブームの発展は大いに期待できそうです。
そんな背景のもと、フォーラム、懇親会、ともに30名以上の出席者とその熱気に支えられ、時間の不足だけを惜しむ一日となりました。その中でも懇親会場で、グラス片手の質問攻めに大忙しの相島先生が印象的でした。