最新のカメラおよびレンズ事情

第239回 光交流会オプトフォーラム
講演会 『最新のカメラおよびレンズ事情』
光交流会 
代表幹事 関 英夫
担当幹事 吉村泰信
年初めのオプト・フォーラムは、写真技術研究家の市川泰憲氏(元写真工業出版社、編集長)をお迎えして、「最新のカメラおよびレンズ事情」と題してご講演をお願いした。
会員の皆さんの中にはカメラ愛好家が多いことから、写真用カメラ研究者として第一人者である市川氏にご講演をお願いした。市川氏は話し方の上手な方でリクエストも多くあったことから新年に際して再びご講演をお願いした次第である。
講演は、わが国光学会の貢献者の一人である小倉磐夫先生(元東大名誉教授・千葉大教授)の著書「最新カメラとレンズ技術」についての紹介から始まった。
小倉先生は朝日カメラの「ニューフェース診断室」ページにレギュラーで執筆しておられたことから、懐かしく聴講された方も多かったに違いない。マミヤやキャノンのEOS-1VとニコンF6が対照的に紹介され、海外ブランドではライカのバヨネットマウントを用いたカメラや2008年のフォトキナで発表されたデジタルカメラのライカM8が紹介された。
 
このカメラはレンズフランジ面を介して64通りの情報を伝達できる機能を備えている。聴講者が最も興味あるデジタル一眼レフカメラの解説は、ニコンD3、ニコンD60について、この2機種はクロススクリーンの効果フイルターを必要とせず画像に同効果を施せる機能や、背景のサチっている部分をアーク化する機能を持ったカメラである。
 
リコーGf200は、湾曲収差の補正ができるON/OFF切り替え機能を有している。高画素数一眼レフのカメラについて、キャノンG10、ニコンD700(1210万画素、APS-Cサイズ、ISO6400相当感度)、同じくニコンD90(1210万画素、ISO3200相当感度、ハイビジョン動画機能を備えている)、キャノンEOS500(1510万画素、APS-Cサイズ、ISO3200相当感度、レンズ周辺光量補正機能を有している)、キャノンEOS5D-MarkⅡ(2110万画素、フルサイズC-MOS搭載、ISO6400相当感度、ハイビジョン動画可能、レンズ周辺光量補正可能)そしてソニーα900(2460万画素、フルサイズC-MOS搭載、ISO3200相当感度)、など次々と高級デジタル一眼レフカメラの紹介があった。
パナソニックのルミックスG1は一眼レフカメラ特有のペンタプリズムとクイックリターンミラーが無くなり、ライブビユー・ファインダーに取って代わっている。これでは一眼レフとは言えない。やはり「ファインダーは光学的にピタッと見るのが一番であり、光学ファインダーは大切にした方が良いと思う」とのお話に、我々光学屋は大いに納得できた。続いて興味深いところで、ニコンD3x(2450万画素、フルサイズ)やライカM8の交換レンズなど、高級機の説明がなされた。ライカM8のズミルックスM21mm、f=1.4、このレンズには1g当り銀より高い値段の硝材が使用されている。
 
またタングステンライト照明での撮影はあずき色を帯びるため、色補正フイルターが必要である。ライカS2はコダックのCCD素子を用いている。富士フイルムのGF670プロフェショナルは6×6と6×7のフイルムサイズが切り替えることができ、フォーカシングには蛇腹を使っているなど、専門家ならでは知りえない話も聞かれた。
市川氏の盛りだくさんな解説に加えて、たいへん熱のこもった話し方に、このたびも聴講者一同大いに満足した次第である。カメラ専門誌の編集長から写真技術研究家として、ますますお元気でご活躍いただけることを切に願って、市川氏に改めて心から厚く御礼を申し上げる次第である。

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