光学設計ノーツ 19(ver.1.0)
輝度不変則に拠らない正弦条件の導出
これまで既に、正弦条件については解説させていただいた。そこでは輝度
不変則を利用した導出を行なった。ここでは、よりオーソドックスな光線光学
的導出方法について解説させていただく。内容は主に下記、参考文献欄の文献
により紹介されている内容による。
1. 有限倍率時、軸上の正弦条件
ここで、光路図をもって正弦条件がどのように成立するか考えてみよう。
図1において、O の像 O’が収差無く結像していて、微小物体高yにおける物
点Pの像 P’にも同様の無収差の結像が起きているとする。まず、光軸に沿って
Oから Cを経て O’に到達する光線を考える。また同様に Oを出発して光軸方
向ではなく、光軸と角度θを為し O,R,O’と言う順に進む光線も考える。このと
き光軸と角度θ’を為し O’に到達するとする。さらに軸外物点 Pから光軸に平行
に出発し Sを通過し P’に至光線を考える。この光線は当然、像側焦点位置fを
通過するはずである。また同様に Pから今度は、先般の光線 ORO’と同じ光軸
との角度の光線の射出を考える。この光線は PQP’と言う光路を通るとする。
するとこの場合にも物界において光線 PQ とOR は平行であるから、近軸像
f
O
O’
f’
P
P’
M
M’
y
y’
θ θ’
Q
R
S
C
n n’
図1 有限倍率軸上の正弦条件の導出