2.ペッツバール和の意味
物体面が平面だとするとρ1=0であるから(10)式は
1
1
k
iii
i
k
knnn
(11)
ρkは像の曲率である。物体面が平面であれば像面も平面である事が理想的であるから、そ
のためには
0
1
1
k
iii
i
nn
(12)
が望まれる。(12)式には各面の屈折力と硝材の屈折率しか含まれていないところが重要であ
る。つまり、各面についての細かいパワー配置が保たれているとしても、硝材が異なれば
像面の曲がり方は異なる事になる。
薄肉系が配置されているとすればひとつ薄いレンズについては、それが空気中にあり、
2つの面のそれぞれのペッツバール和はφ1/n、φ2/n でありこの二つの面の間隔は限りなく
0であるからこの薄肉系全体ではペッツバール和はφをその屈折力として
nnn
21
つまり
k
個の薄肉系よりなる光学系のペッツバール和に対しては像面平坦の条件は
0
k
ii
i
n
(13)
となる。非点収差が存在する場合には、メリディオナル像面もサジタル像面もペッツバー
ル和により示される像面より乖離していく事になるが、非点収差も本来は極力減少させる
べきものであり、ペッツバール和のコントロールは光学設計において重要な要素となる。
3. 参考文献
1)松居吉哉:レンズ設計法(共立出版、東京、1972) P15
2) 早水良定:光機器の光学Ⅰ(日本オプトメカトロニクス協会,1995) P16
3) 草川 徹:基礎光学(東海大学出版会、東京、1997)