
眼の瞳の大きさにより制限されて、干渉光の片方が観測面に到達しない事が容
易に起こりえる。この場合は干渉縞は消えてしまう。
そこで、図-2 にある様に=0 の場合の反射角方向、すなわち薄板の垂直方
向に光軸を持つようにレンズ Lを配置する。こうすれば=0 を中心とした小さ
な入射角の範囲で、実際的な厚い硝子を用いても確実に干渉縞を観測する事が
出来る。焦点面 F面上で、光軸との交点からの距離rにおける干渉縞を考えれ
ば、焦点距離をfとした場合、入射角度は近軸的に=r/f とすることが出来て
(7)式から
2
1
2
2
2Nnd
d
nf
r -(9)
の位置に明るい干渉縞が生じる。これは光軸を中心とした同心円状の縞模様を
表わす。これをハイディンガー(Haidinger)の縞と呼ぶ。
点光源の代わりに面積を持った光源を考えると、この干渉縞は光源の位置
には依存しないため、異なる点光源から出発しても、同じ角度の光線は観測面
の同じ位置に(無収差レンズの焦点面上の光線通過点位置は入射光線の角度の
みに依存する)、平行平面板で分岐した光線は常に(5)式で表される同じ位相関
係を持って到着し、同じ干渉縞が生じる。さらに、光源面を形成する微小光源
がインコヒーレント(位相的に互いに無関係に光を放射している)であれば、
互いの観測面上の波動は干渉せず、それぞれの単独の強度(最大振幅の二乗に
比例)の和として重なり合って、鮮明度をそこなう事の無い明るい干渉縞が得
られる。肉眼でも、うまく無限遠にピントを合わせられれば、網膜上に干渉縞
を形成させる事が可能である。
この様な干渉縞が成り立つのは、以上、述べてきた理由により観察がレンズの
焦点面において行なわれる場合、つまりレンズが無い場合で言えば無限遠の位
置において観察される場合においてのみである。もし特定の有限位置で干渉を
観測しようとすれば(この場合、レンズは必要なくなるが)、確かに点光源か
平行平面板
面光源
レンズ
ハーフミラー
平行平面板
面光源
レンズ
ハーフミラー
図2