光学設計ノーツ 33(ver.1.0)
部分的コヒーレント結像の考え方 3
ファン・シッター-ツェルニケの定理
点光源を仮定すれば、コヒーレンスの問題は時間的コヒーレンスに集約される。この
場合、前節で取り上げた、光源の周波数分布特性
E
(ν)が複素コヒーレンス度 μ12 に影響を
及ぼす。また、電球のフィラメントの様に、光源がそれぞれ、タイミング的にばらばらに
光波を発する微小光源により成り立ち、インコヒーレントな面積を持つ時、この様な光源
の広がりも、μ12 に影響を及ぼす。この影響は空間的コヒーレンスと呼ばれる。ここでは光
源の強度分布とそれによる被照明面(2次光源、或いは照明されている被写体と考えても
良い)におけるコヒーレンシーの関係について解説させていただきたい。
1.ファン・シッター-ツェルニケの定理
ここからは、この空間的コヒーレンスを取り扱うために、時間的コヒーレンスの良い
光源を仮定しよう。つまり、準単色光源の集合により光源面が形成されているとする。
M
個の微小光源(点光源)の集合と考えられる、準多色光源の中心各周波数を ω0、とする時、
図1にある様に、光源面上の点
S
m
から放射される光波による受光面上の点 Q1
‘(照明され
ている、被写体、2次光源1と考えることも出来る。)における、時刻
t
での複素振幅は、こ
れら2点間の距離を
L
1
m
として、球面波の進行を考え、
mmmm LkLtiAQV 1101 /exp
-(1)
と出来る。
A
m
、ψ
m
は
S
m
における、それぞれ単位面積当たりの最大振幅、初期位相を表す。
1 ここでの被照明面を新しい光源面とすれば、この面上での2点のコヒレーンスを考えることは
本連載 31 回の図 1に於けるように、2次光源のさらに後に存在する像面上の強度分布を考える
ことに直結する。