2.3 実際の収差を現す3次収差項
さて、(6)式から、(7),(8)式に次ぐ低次の項、4次の項を総て書き出せば
22
5
3
4
222
3
22
2
2
22
14
uycycuycycucW (11)
(11)式が、実際の収差を表わす、最低次の項よりなる式である。収差は、4次の項、5
種類の係数を持つ項より成り立っていて、4次の波面収差と呼ばれ、波面収差を瞳座標
により偏微分することにより、光線収差を導けば
uRycuRycuuRc
u
W
Rx 5
2
3
22
1
4224 (12)
2
3
2
2
22
1
4224 RycRycuRc
W
Ry
2
5
22
5
3
42
RycuRycRyc (13)
光線収差は物体位置、瞳座標の3次の項により表わされ、3次収差と呼ばれる。また、
c1からc5までの5つの係数に付随して収差が分類される。これらを、ザイデル(Seidel)の5
収差と呼ぶ。ここでは詳しく触れないが、光学系による結像現象に伴う収差は、多くの場
合、このザイデルの5収差(球面収差・コマ収差・非点収差・像面湾曲収差・歪曲
収差)に基づいて分類される。本来は、様々な形で複合して、実際の結像に現われる収
差を個別に検討することができる。
(6)式においては、さらに高次の項が連続し存在していて、上記3次収差の場合と同
様に、光線収差として5次の収差、7次の収差を考えることができる。光学系の開口、画角
が大きくなれば、それらの影響も顕著になるが、高次収差を扱うのに従い、項の数、収差
の種類も非常に多くなって見通しも悪くなり、また、係数の計算も複雑になるので、実際に
は5次収差までが、Schwarzschild の9収差として検討されている。
参考文献
1) 草川 徹:レンズ光学(東海大学出版会、東京、1988)
2) 草川 徹:レンズ設計者のための波面光学(東海大学出版、東京、1976)
3) 辻内順平:光学概論Ⅰ(朝倉書店、東京、1979)
4) 松居吉哉:レンズ設計法(共立出版、東京、1972)
5) 村田和美:光学(サイエンス社、東京、1979)
6) 牛山善太、草川 徹:シミュレーション光学(東海大学出版会、東京、2003)