光学設計ノーツ 46(ver.1.0)
収差展開式における収差の分類
今回は、収差の多項展開式に現われる収差項(前回では現れなかった)の内
容について検討し、光学系結像に存在する収差と言う混乱したものを出来るだけ
整理して考えてみよう。以下では前回の収差展開式が前提となっているので、ご
参照願いたい。
1 収差の展開式
像面上の理想像点からのズレ、収差はy、z方向それぞれに、瞳座標、物体
座標のべき級数展開関数として以下の如くに表現できる。
-(1)
-(2)
上記、光線収差は物体位置、瞳座標の3次の項により表わされる範囲に限っ
たが、これらは収差を表す最低次の項であり、基本的な収差の性質を最も端的に
現す。3次収差と呼ばれる。また、c1からc5までの光学系固有の5つの係数
に付随して収差が分類される。これらを、ザイデル(Seidel)の5収差と呼ぶ。
上式においては、前回(6)式における様に、さらに高次の項が連続し存在し
ていて、上記3次収差の場合と同様に、光線収差として5次の収差、7次の収差
を考えることができる。次数が増して加算されるごとに実際にスネルの法則によ
り光線追跡された実収差の値に近づくことになる。しかし、各項は複雑になり、
数も増え、見通しは悪くなる。