光学設計ノーツ 47(aver.1.0)
波面収差から得られる幾何光学的照度分布
波面収差と光線収差の関係を表わす式を用いれば、光束の集光密度を計算し、
波面収差から像面上の照度分布を求めることが可能であり、任意の次数の、任意
の収差の存在する場合の照度分布を得ることができる。
ここで得られる数式は、多数の光線を追跡して得られるスポット・ダイヤグ
ラムの様な計算機実験的な結果からではなく、幾何光学的強度の法則に基づく解
析的な強度・照度分布を直接表わす。例えば Seidel の特定の3次、あるいは5
次の収差を持つ光学系における理論的な幾何光学的照度分布を検討することに
より(全ての幾何光学的収差が混在してしまうスポット・ダイヤグラムによる評
価とは異なり、注目する収差のみの純粋な影響を取り出すことが出来る)、これ
らの収差固有の照度分布パターンを、また、幾何光学理論の限界などについて考
察することも可能である。
幾何光学においては、波面収差などの収差関数から像面上の幾何光学的な照
度分布を求め得る、後述させて頂く式は非常に重要な意味を持つ。
1. 幾何光学的照度分布
本連載15回“波面収差と光線収差”において述べさせて頂いた通り、波面
収差
W
と光線収差
Δx、Δy
の関係は、瞳上の光線通過座標を(
u’
,υ’)、参照
球面の半径を
R
,像界の屈折率を1とすれば
u
W
Rx
(1)
W
Ry
であった。