光学設計ノーツ 59(ver.1.0)
キルヒホッフの回折積分式 2
前回から実用的な回折振幅・強度計算の基礎となる、キルヒホッフ(Kirchhoff)の回折
積分式について、ヘルムホルツ(Helmholtz)方程式から出発して述べさせて戴いているが、
今回はヘルムホルツ-キルヒホッフの積分定理について、引き続いて解説させて戴く。
1.ヘルムホルツ-キルヒホッフの積分定理 ②
前回(1)式のヘルムホルツ方程式
2u
x2
2u
y
2
2u
z
2
k 2u 0
(58-1)
k 2

ただし、
を満たす Green 関数として前回決めた(58-4)式、
G
Q
exp
iks
(58-4)
を用いて、この球面波伝播式によって小球についての面積分を考えると
G
Q
G
Q
s
n
s
n
ik
exp
iks
s
exp
iks
s
s2 n
s
s
ここで、前回における、
s
cos
n
,
s
n
なる結果を用いると(cos の位相項はこれら二つのベクトルの為す角度を表す。)、
G
Q
cos
n
,
s
ik
1
exp
iks
n
-(6)
となる。さらに、ここでの積分はそもそも P を囲む微小球の表面積 S’について行われるべ
きものなので、点 Q が
S’
上に存在すると考えると、
G
Q
exp
ik
G
-(7)
であり、
S
‘上におけるnとs(s=ε)の方向は、今度は同じであるから(nは有効な体
積内の方を向くので、S 上の点 Q におけるのと異なり、P を囲む球表面の外側に向かう法
線ベクトルとなる)(図1)、
n
V n
s Q
P
S’
S
なり、( 6)式より
図 1 表面 S と S'上に法線ベクトルnの方向
cos
n
,
s
1
s
G
Q
ik
1
exp
ik
n
-(8)
と出来る。
又、小球面上の微小面積 dσ に対しての微小立体角dΩ=dσ
/
ε2 を考え、また、s→ε
となり前回(5)式
U G G U
G U

n n d 
U n G n d
0 -(58-5)
S S' 
の左辺第二項について考えると、

U
G
G
U
d
S
ik
n
1
exp
ik
exp
ik
U
2
d

U
4

n
ik
U
exp
ik
U
exp
ik
exp
ik
U
d

4
n
(9)
となる。
n
n
ここで、( 58-5)式左辺第一項は
S
についての積分であり、ε に依存しないので左辺第
二項についてε→0なる場合を想定すると、
U
及び、その微分は有限の値を持つので、(9)
式積分内の第 1 項、第 3 項は0になり、

U
G
G
U
d

U
0
d
n
4

4
U
0
(10)
である。よって(58-5)、(10)式より
expiks expiks U 
4
U
0

U
n
s
s
n
d
S
よって、
U
はP においても連続であり、
U
(0)は P における
U
を表すので、上式は
U
P
1
exp
iks
exp
iks
U
4

U n
s
s
n
d
-(11)
S
として表される。この式をヘルムホルツ-キルヒホッフ(Helmholtz- Kirchhoff)積分(積
分定理)と呼ぶ。
2.参考文献
1) 飯塚啓吾:光工学(共立出版、東京、1983)
2) 石黒浩三:光学(共立出版、東京、1953) 3)
辻内順平:光学概論Ⅱ(朝倉書店、東京、1979)
4) J.Gaskill:Linear Systems, Fourier Transforms, and Optics
(JOHN WILEY & SONS,New York, 1978)
5) M.Born & E.Wolf :Principles of Optics,7th edition(Pergamon Press,
Oxford,1993)/草川徹訳:光学の原理(東海大学出版会,2005)
6) ヤリーブ:光エレクトロニクス基礎編(多田邦夫、神谷武志監訳)
(丸善、東京、2002)
7) E.Wolf:Proc.Roy.Soc.A253,349(1959)
8) 牛山善太:波動光学エンジニアリングの基礎(オプトロニクス社、東京、2005)
S