である。もし、再生光が参照光と異なる角度で入射すれば、図3(b)にある如くこの場合
にはおのおののベクトルの大きさは波長により決まっているので、三角形に△k の隙間
を生じ、閉じない。つまり、Bragg の条件を満たさない。
図 3(b) Bragg の条件を満たさない場合の閉じない三角形
この隙間△k(Bragg 条件からのずれ)が生じた場合には回折光の回折効率ηは次式に
従って変化する[3][4]。
2
2
2
2
22
22
sin
Lk
Lk
L
(18)
L は記録媒質の厚さ、κは位相差回折格子等において屈折率差を表わす屈折率変調 n1に
比例する定数で、
2
1
kn
(19)
であり、χは回折格子と入射光の角度で決まるほぼ 1 のオーダーの無次元の補正項であ
る。回折効率は角度のずれに対して Sinc 関数の 2 乗の形で減衰していく。 従って、
参照光の方向をある程度変化させていくつもの干渉縞を記録すれば、記録と同じ参照光
に対応するページのみが再生出来ることになる。これが多重記録の原理である。体積を
持つ厚いホログラムにおいては、干渉縞が体積内に 3 次元的に広がり、薄いホログラム
の場合と異なり、上記 Bragg の条件により再生に選択性があり、多重記録性に優れてい
る。
4. 参考文献
[1] 櫛田孝司:光物理学(共立出版、東京、1985)p.88