光学設計ノーツ 68 (ver.1.0)
体積ホログラムの回折効率を考える 5
今回も引き続いて厚さのある体積ホログラム(thick hologram)の回折効率(diffraction
efficiency)を考察すべく、H.Kogelnik参考文献[1]の結合モード理論coupled- mode theory
(或いは結合波理論(coupled-wave theory)について解説させていただきたい。
なお、参考文献[1]とともに、その解説が丁寧に記されている貴重な邦文である参考文
[6]を参照させて戴いている。
1. Coupled-wave 方程式の導出
64 回(12)式、
K
12
から、
2
2
2
2KBB
2
2
22KKB
66 (11)式の関係より、
2
2KK
2
cos2 KK
67 回(1)式の関係から、
2
0
cos2 KK
1
ここで、

)(cos 0
sin)sin(cos)cos( 00
)sin()cos( 00
さらに本連載 66 (7)式の関係がθ0に対して成立するので
)sin(
40
0
n
K
また、これまでに導入している平均波数
B
は、
0
2nB
であるから、
 
00 sin
2
)(cos
B
K
となる。従って(1)式は、

2
0
22 sin
2
2K
B
K
KB

2
0
2
sin2 KK
B
K
0
sin2
K
0
sin2
BK
と成る。 ここで、
B
B
2
22
なる Bragg 条件からのずれを表す系数を導入すれば、上記(3)式より、

0
0sin
2
sin2
K
B
BK
そして連載前回(2)式、
Kn )sin(4 00
より、平均屈折率を改めて
n
と表わせば、
n
K
4
2
と出来る。ここで、前回(8)(9)式、
0222
BSRBiiRR z
67-8
0222 2
2
BRSBiSBiSS z
67-9
において、2次微分の項を無視して、(67-8)式は
0222
BSRBiiR z
辺々に 2
iを乗じて、
0
BSiRBR z
0
SiR
B
Rz
(6)
(67-9)式は
0222 2
2
BRSBiSBiS z
辺々に 2
iを乗じて、

0
2
2
2
BRiSBSB
i
Sz

0
2
2
2
RiSSB
B
i
B
Sz
(7)
(4)式より、

0
RiSi
B
Sz
(8)
ここで、以下の係数、
cos B
cz
R (9.1)
coscos B
K
B
cz
S (9.2)
を導入して、(6)(8)式は、
SiRRcR
(10.1)

RiSiScS
(10.2)
となる。これら(10.1)(10.2)式が厚いホログラムにおいて回折効率を考えるための coupled-
wave 方程式である。
2. 参考文献
[1] Kogelnik, Bell Sys.Tech. J., 48, 2909 (1969).
[2] A.Yariv:光エレクトロニクス展開編/多田邦夫、
神谷武志監訳(丸善、東京、2002, p.676.
[3] M.Born & E.Wolf :Principles of Optics,6th edition(Pergamon Press, Oxford,1993)
/草川徹、横田英嗣訳:光学の原理(東海大学出版会、1977.
[4] J.W.Goodman: Introduction to Fourier Optics 2nd.edi. (McGraw-Hill, NewYork, 1996), p.336
[5] J.W.Goodmanフーリエ光学 / 尾崎義治、朝倉利光 訳(森北出版、東京、2012, p.326.
[6] 辻内順平:ホログラフィー(裳華房、東京、1997.
[7] P.Hariharan: Optical Holography Principles, techniques and applications,2nd.edi.
(Cambridge University Press, Cambridge, 1996), p.48.