光学設計ノーツ 7 (ver.1.0)
デジタル光学機器のサンプリング画像について
1.はじめに
今回からは、趣向を大きく変えて現在の光学機器を考える上で中心的な撮像システムと言っ
てよい、CCD,CMOS 等によるデジタル画像システムについて検討させていただく。こうした素子は、
フィルムなどに比べ、より受光部の構造性が顕著であり、それが出力値に大きな影響をもたらす。
こうした受光ディバイスとしての重要性が増している撮像素子により得られるサンプリング画像
とレンズ等による古典的な光学系による結像との関係について主に検討する。
2.サンプリング画像について
撮像素子によるサンプリング画像理論について整理させていただこう。最も簡単に考え
ると、CCD においては CCD 素子面全体に画素が規則的に配置されていて、それら画素の中央に
光を直接受ける受光部フォト・ダイオードが存在している。そして、画素面積に対する受光部面積
の割合を開口率と呼ぶ。もし、受光部(開口部)、画素がそれぞれ一辺の長さが
w,P
の正方形であ
るとすると、開口率は
w
2
/
P
2
と表わせる。当然、
P
は画素の中心と中心の距離、受光部の並びのピッチでもある。
撮像素子上の、光学系による結像が1次元的な走査により電気信号に変換され、また画像に
再構成されると考え、ここでは単純に1次元的に取り込まれる画像について考察しよう。図 1(a)にあ
る様に光学系による結像の照度分布を
g(x)
とすると、CCD の巾
w
の有効受光部の並びを表わす関
数
c
(
x
)(図 1(b))により、この
g(x)
が切り取られる。この様子が図 1(c)である。ところが、実際には受
光部
内においては結像の細部の情報は存在せず、受光量の平均値がこの受光部の出力する情報とな
り、図 1(e)における
f(x)
が適当な CCD からの出力信号を表わす。
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