光学設計ノーツ 79
あらためて干渉について
本連載、ごく初めの方では何回か閉じた系、或いは薄膜、平面平行硝子板内における干
渉等について数回か説明させていただいた。ところが、実は干渉の最も基本的なところにつ
いてはまだ触れさせていただいていない。干渉は波動的に光学現象を捉えるときには最も
重要な概念のひとつであり、幾何光学と波動光学も結びつける。今回は初心に戻って干渉の
基本的な考え方について取り上げさせて頂く。
1 干渉の基本的原理
E1,E2
の二つの電場の振幅を考えると、これらは当然、以下の(0)式、ベクトル波
動方程式を満たす。(媒質中の速度υを導入して、真空中は当然光速cとなる。)
2
2
22
2
2
2
2
21
t
E
z
E
y
E
x
E
∂
∂
=
∂
∂
+
∂
∂
+
∂
∂
υ
(0)
そして、明らかに
E
1+
E
2も、或いはそれ以上多くの電場の加算も(0)式に代入して考え
てみると波動方程式を満たしている。(これを線形的な重ね合わせの原理と呼ぶ。)故に、光
波の合成(二つの光波の演算)は単純な加算で表現できることが分かる。それぞれの光波に
は、お互いの影響は何も生じない。ただ単純に加えられ、重なり合っている場の波動として
計算されるだけである。
ここで、二つの正弦波動の平面波を考えて、
111011
exp
ϕω
+⋅−−= rktiEE
(1)
222022
exp
ϕω
+⋅−−= rktiEE
これらの光波が合成された、屈折率
n
の界における強度と振幅の間には