022 cos1
11
dPTFMTFE (10)
となる。1,2)
この式からは、積分内に周波数の 2乗の逆数が含まれるので、レンズの高周波領域で
の性能のみならず、低周波域での MTF が大きな影響を持つことが分かる。また位相成分
PTF にも大きく結果が左右される。こうした内容を鑑み、検出も含めた画像処理の高効率
化の為には不鋭面積 Eの増大を抑える、諸制限の中で遣り繰る、ことの意識は肝要である。
ここで注意が必要なのは絶対値の MTF と違い、位相差 PTF は原点の取り方により値が変
化すると言う事である。(1)式の計算結果は、理想的なエッジとエッジ像のそれぞれの中間
の高さが一致するように設定した場合のものである。原点を移動に際しては(1)式には若干
の補正が必要になる。
3.エッジの位置
ここで、エッジの位置の再現について考察すると 1)、ここまでの考え方としては理想的
なエッジ像(近軸結像と考えても良い。)に線像強度分布
L
(x)が畳み込まれてエッジ像が形
成されているとして、この
L
(x)と理想的エッジの位置関係が上記の通り、お互いの高さ中
心で一致していると置いている。ここで、図 2の様な sgn 関数を用いてエッジを表現して、
(1)式の畳み込み積分を実行すると、図2(a)の如くになり
x
軸の上部と下部で別々に畳み込
みをする形になる。畳み込み始めの
L
(x)の
x
方向の位置を適当にとって全体(
y
=-1から 1)
のエッジ像が原点を通過する様になっている。畳み込みが始まれば、
x
=0 における像の照度
h(0)は第 2象限に存在する
L
(x)の面積 Aに等しい。またエッジ下部の高さ h’(0)の絶対値は
第3象限に存在する
L
(x)の面積 A’に等しい(図3)。この時、同じ
x
位置から
L
(x)の畳み込
み積分が始まれば、0から 2までの範囲のエッジによる単純な畳み込み結果(図2(b))と、図
2(a)の全体の関数形状とは一致せねばならない。エッジが
y
=0 から 2の場合と
y
=0 から 1
までの場合においての相違は、高さ方向に畳み込み積分結果の図形が一様に伸ばされた違
いであるから、上部下部でそれぞれたたみ結果の関数は h(0)=0.5、h’(0)=-0.5 を通過する。
つまり A=A’であって、
L
(x)はこの場合、理想エッジによって面積を2等分される位置に置
かれていることになる。
L
(x)が
x
方向について非対称であれば、実際には非対称性の収差に
より一般的にはこの原点で二つの関数は一致するとは限らない。しかし非対称性の収差が
補正されていれば、理想エッジと、畳み込み開始位置での
L
(x)の面積の 2等分線は一致し、
実際のエッジ像の高さの 1/2 のところで理想的な垂直エッジが交差する事になり、画像処理
においても、理想エッジのそのあるべき位置が明確になる。