と、高周波数領域で伸びる MTF を持った光学系の方がこうした画像処理の能力を発揮し易
い事となる。復元可能な精度の高い製作が可能であれば、光学設計値から PSF を引用する
事も可能であろうが、多くの分野では、この常に画面上で変化し得る PSF を追い求める事
が必要になる。
さらに、適切な
h
(
x
)が見つかったとしても、実際には多くの場合画像にはさらにノイ
ズが伴っていて(1)式は、
vnvhxgxf
(4)
となる。ノイズ項にも
H
(
v
)の逆数フィルターが乗ぜられ、一般的に高周波域に存在するノ
イズは不要に増大されてしまう。これらの問題を克服し、上記、空間周波数フィルタリン
グを実際に運用するためにウイナーフィルター1,2)なるものが利用されている。フィルタリ
ング等の詳細には本稿では触れないが、基本的な回復された画像 g’(
x
)と、元画像 g(
x
)の2
乗平均差、
dxxgxg 2
を最小、極値となるように求められたフィルターであって、結果だけ 1次元で記せば、空
間周波数領域でのフィルター
M
(
v
)は
PvH
vH
vM
2
*
(5)
ただし、(5)式中の Pは、ノイズと劣化画像信号のパワースペクトル比、
v
v
P
f
n
である。正常な信号に比べてノイズのパワーが強いと(5)式右辺の分母が大きくなり、ノイ
ズ成分の増大を防ぎ、
H
(
v
)=0 の場合にも(5)式の値は0になり利用に際し好都合である。
こうして一般的に広く用いられるウイナーフィルターではあるが、周波数ごとのパワ
ースペクトル比が得られていることが必要と成り、またノイズが平均値0となるランダム
なものであること、信号とノイズの無相関性などを前提としていて、現実とは乖離してい
る面もあり、最適のものとは言いにくい。特にレンズ性能による劣化の精密な画像回復を
試みる場合には、一般的には PSF は線形的には変化せず、アイソプラナティク領域を前提
としているウイナーフィルターの運用には工夫が必要と成る。
ここでは、基本的な理解のため周波数領域で行なわれる処理についても考えたが、処理