物体からレンズの距離が近づくのに従い、(1)式によれば像位置はレンズから遠ざかっ
て行く。そしてついにレンズと物体の距離が焦点距離と同じになった時、像界では光線は
互いに交じり合わず、光軸に平行な光線となる。さらに物体とレンズが接近すると(焦点
の内側に物体が入り込むと)さらに光線は広がり、レンズの左側に虚像を生むことになる。
光線経路は、光線の方向を入れ替えても(逆方向でも)変化しないので図 5の場合、
物体位置と像位置を入れ替えてもそのまま成り立つ。その場合、左側が像面になるので、
物体位置が異なる場合、レンズ位置を変化させて、固定された像面に結像を生じさせてい
る図とも見える。これが一般的なカメラ等における、ピント合わせの仕組みである。
4.参考図書
1) 小倉敏布:写真レンズの基礎と発展(朝日ソノラマ、東京、1995)
2) 高野栄一:レンズデザインガイド(写真工業出版社、東京、1993)
3) 永田信一:レンズがわかる本(日本実業出版社、東京、2002)
4) 松居吉哉:結像光学入門(JOEM、東京、1988)