屈折後がθ2である。
n
1
、
n
2
は境界面前後の屈折率であった。
スネルの屈折則は一般的な解説においては境界面が平面であるが、レンズのように境
界面が曲面の場合には、上記境界面を入射点 Qに接する平面として考える。特に球面の場
合には簡単で、図 1にあるように、球の曲率中心 OとQを結んだ直線は自然と Qにおける
接平面と直交しているので、これを(1)式における法線とすればよい。
図2 一つの球面による収差
これをコンピュータでスネルの屈折則を利用してきっちりと計算したのが図 2 である
(光軸に平行な光線群では無く、物点から放射している光線を描いてあるが)。明らかに光
の集中の傾向が現れている。しかし、どこに集まっているか?と考えればかなり混沌とし
た状態になっている。これまで、お話ししてきた近軸理論においては本来一点から出た光
は焦点と言う理想的な像点に収束するはずであった。ところが、実情は異なっていた。こ
の光線が理想的に考えられた一点に収束することからのずれを収差と呼ぶ。
2.収差の発生原因
この様な収差がいかに発生しているのか、少し考察してみよう。計算は総て(1)式、
スネルの屈折則により行われているわけであるから、考える拠り所はこの屈折式しかない。
光学系の光軸からの距離(以下、光線の高さと言う)がそれぞれ異なる代表的な光線
の屈折の様子を図 2 から観察すると、この場合にも当然、近軸理論的には光線は総て一点
に収束するはずである。しかし図から明らかなように、一点には収束していない。そして
明らかなのは、光線の高さが高い位置に入射する光線の(1)式におけるθ1、つまり入射
角は低い位置に入射する光線のそれに比べてはるかに大きい、と言うことである。確かに、