LED 照明ノーツ 22
レンズを使う9
<色収差について>
前回までに近軸理論による焦点距離、光学系配置、あるいは球面収差について触れさ
せていただいた。これらの量は一つの波長の光線、単色の光線について考えた量である。
今回は、一つの波長の光線だけではなくて異なる波長の光線が入射した場合に結像はどう
なるのかを考えさせて戴きたい。波長、屈折率など、光学において重要となる量について
も改めて説明させていただく。
1. 光りの波長について
光り波である。従って波長と言うものがある。波と言うのは場が周期的に振動してエ
ネルギーが伝播していくものなので、その性質を語るうえで、周期、振動数、波長と言う
量が必要となる。所謂波の形の振動が繰返されて波が進行していく訳であるが、その基本
と成る波の形一個分の長さを波長と言う。人間には異なる波長で光るもの、或いは異なる
波長の光で照明された被写体からは異なる色を感じる。波長の違いにより人間の受ける刺
激が異なり、異なる色感を生む。人間が光を感じることのできる波長領域、可視領域は一
般的に、380nm から 700nm 程度と言われている。この範囲からより短い波長領域の光を
紫外線、長い方を赤外線と呼ぶ(であるから赤外線は決して赤くは見えない)。デジタル的
な色合成、或いは光学設計においても、これらの単色の色刺激を3色以上混ぜて白色を含
む様々な色彩が表現される。この可視領域においても人間の感じやすさ、感度の違いがあ
って、サンプルデータを基に標準比視感度と言うのが決められている(図 1)。緑のあたり
の波長が一番高い。
2. 屈折率と波長
光学レンズは光学硝子によって成り立っているが、この様な硝材(硝子)の性質を表