(4)式右辺の逆数νdをとり、正の値を考えると
CF
d
dnn
n
1
-(5)
この値をアッベ(Abbe)数と呼び、硝材などの光学媒質の波長に依存した性質を表わす定数である。
当然、アッベ数が大きくなると、分散は小さくなる。本連載、前回第 22 回に掲載させていただいた
硝子表 7)の横軸にはこのアッベ数がとってある。
これまでの導出過程よりご理解いただける通り、あくまでもアッベ数は可視域の d 線を中心とし
た色収差の検討に用いられるべき値であることに留意が必要である。
さて、(5)式を(3)式に代入し計算すると
d
f
f
-(6)
となり、焦点距離もアッベ数も限られた値の範囲(極端に大きかったり、小さかったりしない)にある
ので、一種類の硝子より成り立つ薄肉単レンズにおいては、必ず焦点距離の色収差が存在するこ
とが理解できる。
3.参考文献
1) 油 大作:通信講座テキスト“光学技術の基礎講座”(トリケップス、東京、1993)
2) 小倉敏布:写真レンズの基礎と発展(朝日ソノラマ、東京、1995)
3) 高野栄一:レンズデザインガイド(写真工業出版社、東京、1993)
4) 辻内順平:光学概論Ⅰ(朝倉書店、東京、1979)
5) 松居吉哉:結像光学入門(JOEM、東京7)1988)
6) 村田和美:光学(サイエンス社、東京、1979)
7) http://www.ohara-inc.co.jp/jp/product/optical/opticalglass/data.html