① 1群による像の位置 P1 は決まっているので、バリエーターである 2群の位置、焦点距
離も分かるのでレンズメーカーの式から、2群による像位置 P2 が決まる。
② この位置 P2 から 3群までの距離を 3群の焦点距離
f
3となる様に 3群を配置すれば、3
群を通過した光線は光軸と平行となる。
③ 光軸に平行な光線が第 4群、マスターレンズに入射するので固定されたマスターレンズ
の焦平面上に結像が起きる。
と説明できる。従って、図 1にある様に、2群の位置を若干移動させれば、レンズメー
カーの式から P2 も移動し、これに追従して P2 との軸上間隔を焦点距離 f3 となる様に
キープする様に 3群も移動する必要が発生する。こうすることにより、3群、4群間の軸
上光束平行性は保たれ、像面位置は一定する。また、図 1からも分かる様に同じ高さ
(光線の通過する位置の光軸からの距離)で光学系に入射した光線もこのアフォーカル
部での高さに変化が出て、像面に交わる角度が事なり全体の焦点距離が変化することが
分かる。本連載第 17 回にある通り、軸上光線の入射高さと最終収束角度の関係で焦点距
離が決まるのであるから。
3.薄肉系による 4群アフーカル系のズーミングによる焦点距離の変化を求める
ここで、実際に上記ズームシステムの焦点距離の変化の仕方を計算してみよう
焦点距離はこの段階で定めてしまう。図 2にある、
f
1 ,
f
2 ,
f
3 ,
f
4の値がそれぞれ既述の第
1群、2群、3群、4群の焦点距離である。1,2群間隔は 70mm である。与えられた条
件はこれだけである。ここからでも、4群-像面間は常に 100mm であることは分かる。
ここからの解析のためには若干の計算が必要である。
Ⅰの状態(初期状態)を考えると、
2群による像までの 2群からの距離を
b
2とすれば、レンズメーカーの式より、
-1 / 30 + 1 /
b
2=-1 / 15
従って、
b
2=-30 よって 2,3群の間隔
d
2は、3群焦点距離が 100 であるから、
d
2 = 100 – 30 = 70
である。ここで、本連載 28 回の近軸光線追跡式を思い出せば、焦点距離を計算するため
に光線の最初の入射角
α
1=0、1群での通過高さ
h
1=1 として、