図 3 屈折率の不連続面での屈折
2. 屈折率の表示
物理的には屈折率とは真空においての速度との比較で表現される。波長が変われば同
じ媒質でも屈折率は変化する。ところが我々が実際に光学設計に用いる硝子データにおけ
る屈折率は空気中との比較のものである。ここには注意が必要である。この様な値を用いる
のは多くの光学機器が空気中で使用されているからである。もし真空中の屈折率データを
用いるのであれば、光学設計に際し、いちいち空気中との比較のものに変換せねばならない。
しかし比較する空気の温度により屈折率は変化することになるので物理的には真空換算の
方が理窟がとおる。いずれにしても、一般の硝子データを用いて真空中で使用される光学系
を設計する場合には、真空の屈折率は 0.9997 程度の値を採用しなければならない。光学ガ
ラスの一般的なd線における屈折率立公差は±0.0005 であるから、屈折率 1.0000 との誤差
は公差レベルに達する。
3. フェルマーの原理から考える光線の屈折
ここで図 4にあるように、
a,b,c
を定める。又、光線と境界面の交点をPとするとき、P(
q
,0,
z
)
が境界面上、つまり X-Z平面上に存在すると考える。このPを境界面上で動かすことによ
り、AからBを結ぶ、可能な限りの経路を仮定することができる。上述のフェルマーの原理
の定義により境界面への入射点は、光路長が極致と成る一点に定まるはずである。