LED 照明ノーツ 8
表面の粗さについての考え方
今回は、本連載中の BSDF についての回でも触れた 3)、光の回折・拡散・散
乱(BSDF はこれらの現象を定量的に表現するためのものであるが)の原因とな
る物質表面の粗さについて考えてみよう。ここでは表面荒さについての最もシン
プルな表現方法について解説させていただきたい。
1. 正弦波状表面における散乱
この回では、非常に滑らかでクリーンな正弦波状の鏡面による散乱を考えよ
う。これは言わば一つの回折であって、これから、一般的な表面粗さを考える上
で、それらを様々な周波数の正弦波の合成による表面形状と見なすことにより、
散乱光からその面形状を、定量的に認識することが出来、たいへん重要になる考
え方である。
さて、本稿で扱う“滑らか”と言う言葉は、表面の高低の差が波長よりも小
さいことを意味する。そして、クリーンで鏡面と言う言葉は、散乱が表面の形状
(地形)により生ずる回折に支配されていて、表面、或はその直下に含まれる異
物質により生起される現象でないことを表わす。
図-1 における配置を考えよう。表面上の正弦波は、x軸方向にのみ変化する、